先週は臨床実習指導者講習会に参加してきました。
臨床実習の指導責任者は実務経験3年以上であればなる事が可能でしたが、来年度からは実務経験5年以上でかつ実習指導者講習会を受講した者でなければ、臨床実習の指導は行えなくなりました。
今回受講してきたこの指導者講習会は、2日間で計16時間となかなかハードなものです。
そもそも、どうして臨床実習指導者の資格や臨床実習の内容が変更となったのかはご存じでしょうか。
実は国会でPTOTの臨床実習が問題として取り上げられました。
個人としては特に以下の部分が大きかったのではと思います。
実習と称して見よう見まねの非科学的指導や現代に合わない徒弟制度的指導が横行し、指導者からのパワハラ・セクハラ、いじめ、暴力等による被害事例がかねてより報告され、その問題点が度々指摘される事態となっている。
実際に2008年と2013年には、大阪の近畿リハビリテーション学院において学生が臨床実習期間中に自殺する痛ましい事件が相次いで起き、いずれも遺族による訴訟が起こされている。
(衆議院 質問本文情報 平成二十八年三月九日提出より一部抜粋)
思えば私の臨床実習もひどいものでした。
レポートを提出すると放り投げられ、毎朝『帰れっ』と怒鳴られ、フィードバックは指導者の仕事が終わってからになるため何時から始まるのか分からず何時間も待ち、時には寒い中喫煙所の非常階段でずっと待たされることもありました。
課題は教科書を全て手書きで写してこいという有様、と書き出すと止まらないのでこの辺で。
ようやく日本全国、どの施設でも、まともな臨床実習が受けられる制度が確立したのかと思います。
しかし学生を守ることが主目的と考えられる変更のため、心配な部分があります。
それは、予習復習を含めて1週間の実習時間が45時間以内と制限されたことです。
『質の担保』という視点から考えると、以下の事が予想されます。
1.1週間の実習時間が45時間以内であっても、実習終了時には到達点に辿り着けることができるレベルの学生だけが実習生となる。
2.養成校の乱立により学生の基礎学力の低下は周知の事実であり、上記1.のような学生だけが実習に来ることは現実的に考えられない。限られた時間の中で、学生個人個人の成長が到達目標となるため、実習終了時点での質の低下は仕方がない。
3.それでも『質の担保』は必要となる。国家試験の難易度を上げることである程度は対応可能となるのか。
来年度の実習から新指定規則で実習が始まります。
時が経てば検証されることだと思います。
実のある実習となり、素敵なセラピストが増えることを期待しています。
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